こんにちは。元公立小学校教員歴15年の、さとさとです。
よく、親同士の会話で、
「うちの子は全然できなくて…(苦笑)」
「うちの子はダメだから(笑)」
なんて言葉が聞こえてきます。
保護者会の後の立ち話などでよく聞きましたね。
子どもは親を見て成長する
子どもは、親を見て成長します。
いい意味でも悪い意味でも、親は子どもの「お手本」なのです。
その親が、「うちの子は全然できなくて…」と言っているのを知ったらどうなるでしょうか。
「あぁ、期待されていないんだな。」
とか、
「できなくても仕方ない。親もそう思っているみたいだし、できなくてもいいんだ。」
と考えるようになります。
一方、親が、「大丈夫だよ。できるよ。」という気持ちで子どもを見ていたらどうなるでしょうか。
「ちゃんと見てくれているんだな。」
「がんばろう!」
と考えるようになります。
承認欲求
「誰かの期待に応えたい」という気持ちは、心理学では「承認欲求」と呼ばれます。
アメリカの心理学者、アブラハム・マズローは、人間の欲求を5段階に分けました。
下から「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」という5つの層に分かれていて、下の欲求が満たされると上の欲求が起こるという説です。
生理的欲求とは、生きるために「息をする」「食べる」「飲む」「眠る」というように、生命を維持したいという欲求。
安全の欲求とは、「家がある」「安心な生活が送れる」というように、身の安全を守りたいという欲求。
生理的欲求と安全の欲求は、日本で普通に生活していればほとんどの場合満たされています。
社会的欲求とは、「家族や友達、サークル仲間などグループに所属したい」「孤独を避けたい」という、他者と関わり集団に属したいという欲求。
つまり、家族がそもそも崩壊しているような場合には、次の「承認欲求」は現れません。
そして、承認欲求とは、他者から価値を認められたいという欲求です。
子どもは特に「親から認められたい」「家族の中で、自分は認められている、価値のある人間なんだ」と思いたいのです。
そして、承認欲求が満たされれば、自己実現欲求が出てきて、より自分らしく生きたいと考えるようになります。
子どもの承認欲求を満たしてあげるには、
「うちの子は全然できなくて…」
ではなく、
「うちの子はまあまあ出来てるかな。」
と、心の中では思っておくこと。
そして、子どもの前では「全然できない」「ダメ」とは、決して言わないこと。
(回り回って子どもの耳に入ることがないように。)
ホーソン効果
ホーソン効果とは、注目や期待をされているとモチベーションが上がるなど、他の人の行動に影響を受ける効果です。
ホーソン工場で実施された、労働者の作業効率を向上させるための調査から発見された現象であるためこの名がつきました。
子どもは、親から期待されていると、「がんばろう!」という気持ちになります。
親が一緒に遊んであげたり、宿題を見てあげたり、疑問に答えてあげるなど、子どもに「注目しているよ」「期待しているよ」という気持ちを向けることが、子どものやる気を上げるのです。
期待のかけ方・かけ過ぎには注意
ただし、期待のかけ過ぎには注意が必要です。
もちろん、「期待しているよ」というメッセージを子どもに送ることは大切ですが、その期待のかけ方が問題なのです。
その「期待」は、子どもも「できるようになりたい。」と思っている期待なのか。
親のエゴになってはいないか。
たとえ、親のエゴであったとしても、子どもはそれに応えようとするでしょう。
子どもにとって集団の最小単位である家族からの承認欲求というものは、それほど大きいものです。
しかし、子どもは期待に応えられない自分の力不足を感じてしまったり、自分がやりたいこととは違う期待をかけられていると感じてしまったりすると、自己肯定感の低下につながります。
子どもが本当になりたい自分、できるようになりたい事と同じ方を向いて、親は期待をかけてあげることが大切なのです。
まとめ
何年も見ていれば、自分の子どもの苦手な事や、できない事も当然分かってきますし、本気で「うちの子は…」と思う部分も少なからずあると思います。
でも、決して「できない」ということは子どもには伝えずに、ありのままを受け入れ、よりよく成長していけるように期待して見守っていきたいですね。
(参考)
STUDY HACKER|マズローの欲求5段階説とは? 知っておくべき心理の法則心理学~仕事や恋愛、資格検定などに役立つ~
ウィキペディア(Wikipedia)|アブラハム・マズロー
努力する子の育て方|ピグマリオン効果の残念な真実と、そこから学べること